Mymed:origin

明日

 明るい。目を刺すような、凶悪なほどにまぶしい朝日が差し込んできて、手をとめた。もう徹夜しても昼間ピンピンしているような年齢でもないのに、書くのに夢中になりすぎていたようだ。
 明るい日。明日が今日に、なっていた。
 ノートパソコンを閉じて横になると、背骨がパキパキと鳴った。猫背、彼女にもなおせと言われてたっけ。仕事をクビになったと伝えた途端に別れを切り出されるなんて、今思い出しても自分が情けなくなる。けど、彼女との思い出は全部小説に食わせた。好きで耳まで火照ったことも、怒りで全身が震えたことも、悲しくて明日が来なければいいと願ったことも。もしかしたら、生活を小説の糧にしていたことに彼女も気付いたのかも。本気なのに、心のどこかで実験していた。
 けど、どうするんだろうな。小説家を目指すなんて本気で考えていたのは学生の頃までで、やっぱり普通に就職しなければ食っていけない。
 なのに俺はというと、徹夜で小説を書きふけっていて、職業安定所に行く気は起こりそうにない。

「あーあ」

 書き続けましょう、ともに。
 俺を突き動かしているのは、もしかしたら声も知らない人のたった一つの揺るがない言葉だけなのかもしれなかった。もう、どういう経緯でそんな話になったのかも思い出せないというのに。

 LUNKHEADの明日です。
 さりげなくギグルの続き。
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