その予想は未来でもあり
「そういえばジュン、秋山家に行くんだって?」
「あぁ、書生の件か……。家庭教師としてあそこの娘達を面倒見なきゃいけないんだ」
「気が重いね、それは」
「勉強ができるならいいさ」
「秋山家は遠いよなぁ……。帰ってくるんだろう?」
「たまに、だけどね」
「ふーん……」
カコンという鹿威しの音が訪れた沈黙を破った。
これは秋山家に住み込む前だから一年前……、僕の家だ。
「リョータは、どうするの?」
「僕は……家庭教師が来る側さ」
「……そうだね」
遼太郎の父親は政治家……金持ちだ。わかっていた答えにしては、身分というものは明確にはないはずなのに、差というものをひしひしと感じてしまう。
「ねぇ、ジュン……」
「?」
「帰って来た時は、僕と遊んでね?」
「もちろん」
「それにしても……秋山家は女の子ばかりだったよね……」
「そうなんだよ」
「そっかぁ……」
遼太郎は目を伏せた。
そして、呟く。
「死にたくなるほど、つまらなそうだね」
「ははは、何てこと言うんだい、リョータ」
ご名答だよ。