記憶と酷似する現在で
「……ジュン?……まだ、息してるし……寝てるのかな」
「──……」
寝てないよ。
やはり声は出ない。
出会った時から、君はあまり変わってないね。
ねぇ、遼太郎。
あの時、僕は本当は起きてたんだって言ったら、君はどんな顔をするのかな。
あの時と同じ、僕は細く目を開いて君を窺う。
「……ジュン、」
重なる映像。
遼太郎の顔が近付いた。
本当に綺麗な顔をしているよね、君は。
「殺したいくらいに、好きだったよ……」
重なる唇。
やはり最初の再現のようだね。
「三日前……僕に『よろしく頼む』なんて言わなかったら、君は死ななかったのにね」
僕は望んだのさ。
「……今更だけど……僕は君に生きていてほしかったな」
本当かい?
それはちょっと嬉しいな。
「聞いてるの?ジュン……」
聞いてるよ。
ねぇ、遼太郎、泣かないで。
僕は多分、ずっと前から君に殺されたかった。
でももう、さよならだね。
「──……」
しぶとかった方だと思うよ、僕も。
「待っててね、ジュン。僕もすぐにいくから」
あぁ……、もう君の言葉も聞こえないよ。
今更だけど、君と生きるのも悪くなかったかもなぁ、なんて思うんだ──……。
[了]