道
道が真っ直ぐ続いている。
僕は歩くしかないと知っている。
立ち止まれないと知っている。
「───…」
口を付いて出てきたのは誰の名前だっただろうか。
僕はその名を呼べないと知っている。
資格がないと知っている。
「…」
辺りが、暗い。
足下しか見えない。
「!!」
肩を掴まれる。
振り返るとそこにいるのは──…。
「な、んで」
「やっと追いついた。ねぇ、一緒にいこうよ」
「でも、僕は」
「大丈夫だよ」
にこりと笑う君に、絡んできた指に、僕の口元が緩んだ。