雨の学校
外は雨で、学校は世間から切り離されたようだった。静かな空間に私は一人取り残されたよう。
教室を出ると、ひんやりとした空気が膝を撫でた。
キュッとローファーが音を立てて、私は走り始めた。
誰もいなくても、必ずいる人を、見つけに。
「生徒会長」
ドアを開けながら言うと、部屋の奥から返事が聞こえた。
「廊下は走るな」
なんだかとてもホッとして、私はドアに凭れかかった。それからずりずりと座り込む。
「スカートでその座り方はやめてくれ」
「うん」
「お前ほんと口だけな」
「大丈夫、下にハーパン穿いてるから」
「そうか」
しーん、と沈黙が私達の間にはあって、息が苦しくなった。
「何してるの?」
「生徒総会の準備」
傍に寄ると、生徒会長は私を見もせずに何か投げて寄越した。
「…飴ちゃん?」
「関西人かお前は」
「生徒会室に飴なんてあるんだ」
「内緒な」
「うん」
飴を口に放り込みながら近くにあった椅子に座る。
「帰らないのか?」
「うん。雨降ってるし…」
君の傍にいたいから。